人は仕事、恋愛、人生とさまざまな分野で、
達成に向けてのプロセスを踏んでいます。
時には挫けながら、
またある時はフィードバックをもらいながら、
試行錯誤によって学習しています。
もしあなたにとって、理想となる人、
また手本となる人がいれば、このプロセスを一気に短縮し、
あなたの人生のステージを飛躍的に高めていくことができます。
そのスキルが、
他者【モデル】を真似ていくNLPのモデリングです。
このNLPのモデリングがなぜ有効かというと、
心理学や社会学でとりあげられる
「観察学習」や「模倣学習」、
また「代理強化」と呼ばれる理論をもとに、
より実践的ですぐに取り組めるステップに構成されているからです。
この意識的または無意識に行われている学習プロセスを、
仕事や人間関係に活用することで、
あなたの人生に大いに役立てることができます。
ここで大切な注意点です。
「なんだ、マネすればいいのか」
といった表面的なモノマネでは、結果は生まれません。
そこでこの記事では、具体的な手順とともに、
「効果的なモデリングの重要な視点」
とは何かについてご紹介しています。
ぜひその秘訣を学び、
モデリングの精度を高め、
より確かな理想のあなたを手に入れてください。
著者:足達 大和 全米NLP協会公認・NLPマスタートレーナー |
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当メディアサイトの運営元である「NLP-JAPAN ラーニング・センター」の専属トレーナー。5,600回以上という圧倒的な回数の研修実績を持つ。 NLP-JAPANラーニング・センターとは、日本最大手の「NLP総合スクール」で、NLP業界の世界5大組織と連携。日本で唯一、NLPの基礎から大学院レベルまでの学びを提供している日本最高峰のNLPトレーニング機関。 |
1.NLPのモデリングとは何か
1-1.NLPのモデリングとは
NLPのモデリングとは、自分が望む結果や状況を手に入れている人の「外的レベル」、そして「内的レベル」の情報を真似ていき、同様の結果や状況を手にいれる手法です。
「外的レベル」とは、その人の行動やふるまい。
「内的レベル」とは、その人のビリーフや大切にしている価値観、またアイデンティティなどが挙げられます。
真似ていく、というのは、スマホやパソコンにアプリをダウンロードすれば、機種は違っていても同様の機能を活用できるようになるのと同じで、
「外的レベル」「内的レベル」の情報をあなた自身に取り入れることによって、理想となる人と同じような結果、またはパフォーマンスを発揮できるようになるのがNLPのモデリングです。
1-2.モデリングの効果
モデリングのプロセスを活用することによって、理想【モデル】の世界観を取り入れることができます。そうすることで、以下のような具体的な効果があります。
仕事であれば、
- 効果的なプレゼンができるようになり、発言力や影響力が身につく
- 理想の上司や憧れのビジネスパーソンの着想がわかるようになる
- やる気や情熱、そして行動力や達成力が身につくようになる
- 困難な状況でも、冷静に柔軟性をもって対応することができる
- 周囲を巻き込むリーダーシップや指導力を発揮することができる
またプライベートでの恋愛、家族、友人といった関係性では、
- 聞く力や共感能力が高まり、円滑なコミュニケーションが可能になる
- 信用や信頼を増すことができる
- 誠実さや優しさ、またユーモアといった相手を魅了するあなた自身になれる
- 自然体で人と関わることができるようになる
- 人との会話や関わりが楽しくできるようになる
この他、健康やスポーツ、音楽や料理などの趣味といった様々な分野で活用することができます。
1-3.一流も行っているモデリング
実はモデリングは私たちも経験済みで、最も顕著な例が、親子の関係です。
子は親を見て育つと言われますが、本能レベルで、
「生きるとはこのように行動することである」ということを無意識に学びます。
これは「生きる」というレベルですが、ある程度物心がつくと私たちは「よりよく生きる」レベルで、ヒーローやヒロインの真似をして遊びます。いわゆる「〇〇ごっこ」です。
そしてさらに私たちは成長し、例えばスポーツや演劇といったものにも関心をもち、その世界の憧れの選手や俳優といった理想を持ちます。
あの大リーグで活躍する世界のイチローも小学生のころには、当時中日ドラゴンズの田尾安志選手(初代東北楽天ゴールデンイーグルスの監督)に憧れ、そのフォームを真似ていました。
またアカデミー賞を何度も受賞しているダスティン・ホフマンは、新人時代にスターとして著名だった俳優ハンフリー・ボガートの歩き方、たばこの吸い方、しゃべり方を徹底的に真似ていたことをアカデミー賞の授賞式挨拶で述べています。
ビジネスの分野でいえば、世界に画期的な商品を生み出したあのスティーブ・ジョブズも、昔はソニーのウォークマンに憧れ、意識し続けていたことを告白しています。
このように今超一流である誰もが、モデルとなる誰かを意識し、そのステージを引き上げていきました。
次はあなたの番です。
1-4.観察し、実際に動いてみることが大事
NLPのモデリングでは、モデルを観察することはもちろん大切ですが、実際に体をモデルのように動かすことが重要なポイントになります。
体の姿勢や動作、また表情といった「動き」をNLPではフィジオロジーといいます。
このフィジオロジーは、感情や気分、また態度といった、その人の内的な状態に大きな影響を与えます。
例えば以下の二枚の写真を見てください。
どちらのポーズをとれば、やる気が出てくるのか。
また落ち込みやすくなるのか、瞬間的にわかると思います。
実際にこのポーズをとるとわかりますが、Aのポーズでは簡単に落ち込めません。
また逆にBのポーズでやる気を出そうとしても、非常に困難です。
また表情や手の位置もそうです。
以下の二つの写真を比べてみてください
どちらがやる気や元気がでてくるのか、またツラくなるのかがわかると思います。
Aのほうの写真をじ~っとみていると、あなた自身にも頭痛が出てきそうになる感覚、また逆に、
Bの写真を観察し、実際にそのポーズや表情を真似ていると、なんとなく愉快な気分や活力、元気が生まれてきそうになる感覚を感じられるかもしれません。
お伝えしたいことは、やる気や元気といったポジティブな状態になるためには、それに必要なフィジオロジーがあるということです。
そして、体の具合が悪く、気分がよくない時には、それを感じるためのフィジオロジーが必要だということです。
では、理想とするモデルの内的な状態を感じとるためには、どうすればいいのか。
同様にそのモデルの姿勢や動作、表情といった動き、つまりそのフィジオロジーが必要だということです。
しっかりと観察し、実際に動いて、感じることが、NLPのモデリングのポイントです。
2.モデリングするレベル
「結果を出すモデリング」と、ただ単に「モノマネ」で終わってしまうモデリングの違いは何か。
ここではNLPのモデリングで大事な視点となる、理想となるモデルの「何を」取り入れていくのかについてお伝えしています。
2-1から2-2までが外的レベルの情報で、2-3から2-5までが内的レベルの情報です。
※わかりやすいように大勢の前で話すプレゼンターの例でお伝えします。
2-1.見てわかるもの
これは理想とするモデルの身につけているもの、髪型、服、時計、筆記具といったレベルのものです。このレベルは、いわゆる「なんちゃって〇〇」のように中身が伴っていない浅はかなモデリングになります。
かじった程度のモデリングの知識では、効果が出ずに逆に落ち込むこともありますので、これから先の項目をしっかりと確認してください。そうすることで、上質なモデリング効果が見込めます。
2-2.行動「何をしているのか」
その人は何をやっているのか。
行動レベルを観察してモデリングします。
身振り、手振りといった動作、歩き方や座り方、表情や呼吸がこのレベルの中に入ります。
理想のプレゼンターの例で言えば、先述した仕草やジェスチャーもそうですし、その人の声の出し方(高低、スピード、大小)といった話し方も含みます。
目だけでなく、耳を傾けてよく聞き、よく観察します。
2-3.能力「何を、どのようにしているのか」
その人はどんな能力を発揮しているのか、またどんな手順で進めているか。
そこを探求するレベルです。
状況判断や意思決定の力、また仕事と遊びのバランス、そして創造性やユーモア、優しさといったこともこのレベルになります。
また、戦略や計画といったことも含まれます。
プレゼンターの例でいえば、どのように話を組み立てているか、話の「構成」などがそうです。
2-4.ビリーフとバリュー:「なぜ、それをしているのか」
ビリーフとは、信じていることや前提にしていることです。 バリューとは、その人が大切にしている価値観のことです。
プレゼンターの例で言えば、
「この内容は必ず人の役に立つ」「自分の体験を心底伝えれば、必ず人の胸に響く」。
こういったことがビリーフです。
「聞き手の目を見て話すこと」「聞き手のニーズに応えること」
こういったことが、大切にしたい価値観です。
なぜ、それをしているのか?
その問いの答えにあたる部分が、ビリーフと価値観です。
2-5.使命や役割:「自分は何者か」
このレベルは、その行為を通じて、自分は何をしているのか、
世の中や社会に対して、何を伝える人なのか、創る人なのか、遺す人なのか。
以上のような、世の中や社会に対する「使命や役割」を探求するレベルです。
プレゼンターの例で言えば、
「可能性を伝える人」「希望を生み出す人」「人や社会に希望を与える人」、といったことが挙げられます。
以上がモデリングの視点です。
3.モデリングの具体的な手順
ここではモデリングの手順をお伝えします。わかりやすいように、また「プレゼンテーション」の例でご紹介していきます。
3-1.欲しい結果を決める
欲しい結果は何か、得たいと思う成果を設定してください。
3-2.モデルを特定する
得たい成果をうまくできる人、出せる人、モデルを決めます。
モデルは他のだれか、またパフォーマンスを発揮していた過去の自分でもOKです。
モデルの例 松岡修造の熱意 所ジョージの自然体 明石家さんまのユーモアなど
3-3.目の前にスクリーンをイメージし、その中でどのようにモデルが取り組んでいるかを描き、観察する
パフォーマンスを発揮したい場面をモデルがやっている映像を想像する。
そのモデルの表情や身振りや声のトーン、呼吸などを思い浮かべ、よく観察する。
(この時にそのモデルの特徴をメモしたり、言葉にしておくと効果的です)
3-4.モデルの中に入り込む
スクリーンの中のモデルに、着ぐるみを着るように入りこむ。そして実際に体を観察した通りに動かしてみる。
3-5.モデルの視点で、五感を確認する
モデルの中に入り、以下の質問項目をチェックする。
- その場面で見えているものは何か。
- そこで聞こえている音、声はどんなものか。
(周囲の音や声、または自分の中で聞こえている自分の声) - そこで感じている体の感覚はどんな感じか。
- 呼吸はどんな感じか。
3-6.モデルの中に入り込んだ状態で、4つのことをチェックする
モデルの中に入り、以下の質問項目をチェックする。
- 行動レベル:どんな行動をしているか、必要になるか
- 能力レベル:どのような手順か、必要な能力は何か、持っている可能性は何か
- ビリーフとバリュー:信じていることは何か。大切にしていることは何か
- 使命や役割:自分の使命、社会における自分の役割は何か
※実際に体を動かしながらやるのがポイントです。
各項目の答えを考えるというより、ふっと浮かんでくる、また降りてくるという感覚を大切にしてください。
3-7.スクリーンに自分の姿を映し出す
モデルから出て、イメージの中のスクリーンに、今度はモデルがやっていたとおりに「自分がやっている姿」を映し出し、観察する。
3-8.チェックする
もう一度、そのモデルの中に入り、違和感がないかチェックする。
※違和感をもった場合は、モデルを変えたり、イメージの中の動きを変えてみることで、効果的なモデリングができます。
しっかりとなりきることがポイントです。そうすることで、その人の思考や感情、フォーカス(意識を向けているところ)、信念や価値観などを感じることができます。
3-9.繰り返す
チェック項目の内容を何度も、何度も、繰り返し、体に定着させてください。
また、視点やビリーフ、使命や役割などに意識を向けながら、外的パターンだけでなく、内的パターンも落とし込んでいきます。
4.モデリングエクササイズで人の世界観を体験する
モデリングは日常のちょっとした場面で練習することができます。ここでは3つご紹介します。
4-1.誰かの歩き方をモデリングする
誰かの後ろについて、その人と同じように歩いてみる、ということです。
背筋の伸び具合や曲がり具合、
歩幅や歩くスピード、また足は擦る感じか、跳ねる感じか。
また、顎の位置や視線の方向、
腕を前後に振っているか、少し斜めに振っているかなど、
職場で憧れの上司や先輩と同じように歩いてみたり、
空港やバス停、また電車の中で、特定した人の姿勢や行動を真似してみると、
その人が体験している感覚がなんとなく感じられます。
4-2.動画でモデリングする
動画(YouTube、ニコニコ動画など)を活用します。
このとき理想となるモデルをただ眺めるのではなく、腕の位置、背筋は曲がっているか、伸びているか、よく歩くのか、とまっているのか。
そんなところを観察しながら、実際に動きをマネしてみることが大切です。
その動きの中で浮かんでくる内的な情報(ビーリフや価値観など)を感じてみてください。
4-3.アズ・イフ・フレームを活用する
これはもっとも取り組みやすい方法です。
「もし〇〇だったら、どうするだろう?」と自分に質問することです。
〇〇の中には、あなたの理想や憧れとなる人、つまりモデルの名前を入れて、自分に問いかけます。
「スティーブ・ジョブズだったらどうするだろう?」
「エジソンだったら、どう考えるだろう?」
「イチローだったら、何をするだろう?」
このような質問をつくって、自分に投げかけます。
この質問によって可能性をひらき、選択肢を見つけていくことをNLPでは、
「アズ・イフ・フレーム」と呼んでいます。
5.まとめ
モデリングは、見えている部分などの表面的なものではなく、行動、能力、ビリーフ、バリュー、そして使命や役割といった深い部分の情報を、あなた自身に取り入れていくスキルです。
理想の上司でも先輩でも構いません。また歴史上の人物でも、映画の主人公でも、漫画のキャラクターでも、身近な誰かでも大丈夫です。そして、パフォーマンスを発揮していた過去のあなた自身でも。
望んでいる結果を明確にし、欲しいリソースを特定し、徹底的にモデリングを続けてください。
モデリングしているのが真のあなたであることに気づくまでです。
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※参考文献
- 『NLPコーチング』ロバート・ディルツ(著),ヴォイス
- 『天才達のNLP戦略』ロバート・ディルツ(著),ヴォイス