著:ロバート・ディルツ
第4ポジションとは、相互作用が発生している特定の状況に関連した、
システム全体やフィールドにアソシエイト
(物事を主観的に一体化した状態で認識)している知覚位置のことです。
それは、システム全体の最善の利益を念頭に置きながら、
状況を体験することが関わります。
第4ポジションは「私たち」の視点であり、
「私たちは...」、「我々」など、一人称複数を使うことが特徴です。
そして、知恵とエコロジーに不可欠なポジションでもあります。
開発当初の知覚位置グループ(第1ポジション:自分、第2ポジション:相手、第3ポジション:観察者)には含まれていませんが、
第4ポジションはこれら同様に根本的な視点の1つであり、効果なリーダーシップ、チームビルディング、チームスピリットの育成に不可欠なものです。
その言葉通り、第4ポジションは他の3つの知覚位置を前提とし、それらを包含しています。
第4ポジションの視点に立てないと、グループやコミュニティの一員としての感覚を得ることが難しいと感じたりもします。
第4ポジションという体験は、グループやシステムのメンバー全員の団結と結びつきを可能とする、
より深い共通の要因や特徴を見出そうとすることから生まれるものです。
そして、いわゆるグループマインドの基礎となります。
しかし、第4ポジションは単なるコンセンサスとは区別される必要があります。
コンセンサスとは、基本的に個人と個人の間の合意です。
第4ポジションは、システムの全メンバーと同じであるというフェルトセンスと一体感から生まれます。
また、他の3つの知覚位置をすでに体験していることが前提となります。
第4ポジションと他のポジションの関係は、三角錐とその先端を思い浮かべると最も簡単に理解できるでしょう。
三角錐の土台部分が、自分、相手、観察者という3つの主要な知覚位置で、
第4ポジション、またはシステムポジションはピラミッドの頂上であり、他の3つのポジションを包括し、深みを加える視点であると考えることができます。

システムがうまく機能している場合、システムを構成するすべてのメンバーが、ある程度は第4ポジションの視点に立ち、これを体験することができています。
第4ポジションの視点に立つことができる能力は、グループ・マネジメントを大いに促進し、ビジョナリーリーダーシップの重要な特徴の1つにもなります。
有能なリーダーは、自分が影響を及ぼしているシステム全体と自分を同一化することができるのです。
第4ポジションはまた、モデリングにおいても必須の視点です。
例えば、個性や「自分」という個の感覚が重視されず、共同体や「皆」の概念が支配的な他文化を探求し理解する際には、第4ポジションに立てることが特に重要になります。
バリ島を例に挙げると、この文化における社会的カーストでは、すべての人の名前が4つしかありません。
基本的に、第一子、第二子、第三子、第四子の意味を持つ言葉が名前に使われています。
一家に4人以上の子供がいる場合、5番目の子供の名前は、再び第一子に戻ります。
個人ではなく、グループやカーストが名前に反映されているこの文化は、個人よりも共同体を中心に組織されているのです。
第4の知覚位置(第4ポジション)がNLPテクニックにおいて最初に使用されたのは、
ロバート・ディルツが 1988 年にジョン・グリンダーと行った行動の構文シリーズの結果として開発されたメタミラープロセス (Dilts, 1988, 1990, 1992) でした。
このプロセスでは、第3ポジションで下される判断によって生じる問題を解決するために、第1、第2、第3のポジションを包含し反映するポジションを作り出す必要がありました。
著者による、有能なリーダーのスキルとストラテジーのモデリングの結果として生まれたリーダーシップのためのメタマップ(Dilts, 1989, 1998)において、
「会社のポジション」と呼ばれていた第4ポジションの概念は、1989年、システムポジションの概念へと拡大されていきました。
このポジションは、「私たち」という言葉で特徴付けられ、自分が率いるチーム、グループ、またはシステムとの同一化が関わっていました。
つまり、「システムの思考ビジョン」を策定し、「システム全体の最善の利益を考慮する」ことです。
第4ポジションが「私たちのポジション」と呼ばれるようになったのもこの頃でした。
ウェブスター辞典で定義される「we(私たち)」とは、「メンバーが意識的にそのように感じている集団を指す」とされています。
グループ・ダイナミクスを研究したクルト・レヴィン(1939)の古典的な著作では、あらゆる集団の基本的な特性の1つが凝集性(「私たちらしさ」の感覚)であると言及しています。
凝集性が高ければ、メンバーはグループの活動に参加し、グループのゴールや目的の達成に貢献しようというモチベーションが高まります。
こうした経験が、グループのメンバーに安心感と同一性意識を与え、自尊心を高めます。
レヴィンの言葉を借りれば、「その人が立っている土台」の感覚を生じさせるのです。
集団が体験する凝集性の度合いは、一般的に言って、メンバー同士の興味や価値観の重なりの度合いと、
メンバー間で築くことができるコミュニケーションやラポールの度合いが作用しています。
NLPのラポールという概念の始まりは1976年にさかのぼります。
ラポール形成とは、一般的に、人間関係における信頼、調和、協力の確立と定義されています。
他者とのラポールが確立できている状態やその過程は、「調和的な相互理解」、「合意」、「同調」、「一致」などの言葉で表現されることもあります。
ラポールを確立するための身体的ミラーリングのプロセスは、NLPテクニックのなかで最も古く、最もよく知られているものの一つです。
(ただし、ミラーリングはラポール状態を作り出すことを保証するものではありません。
なぜなら人は、必ずしも「私たち」の体験には入らず、自分自身の視点である第1ポジションに入り続けることができるからです。)
元々、ラポールという考え方はミルトン・エリクソンの研究から生まれたものでした。
催眠療法士であったエリクソンは、治療的トランスと呼ばれる特別なラポール状態を作り出し、彼自身がその状態に入って治療をしていたことが知られています。
1978年、一人の生徒が、エリクソンがクライアントをトランス状態に導く過程で、エリクソン自身が瞳孔の拡大、筋緊張や呼吸の変化などのトランス状態の特徴を示していることに気づきました。
クライアントに催眠をかけるとき、自分もトランス状態に入っているのかと尋ねたところ、エリクソンは「例外なく」と答えました。
この答えに対して生徒は、「その場合、誰が誰に催眠をかけているのですか?」と尋ねると、エリクソンは再び「例外なく」と答えました。
つまり、ラポール状態とは、人間関係を構成しているそれぞれの要素が他の要素に影響を与え、影響を受けている、相互影響と相互作用の循環であることを彼は示唆したのです。
NLPテクニックの明確な一環として「私たち」という言葉を使用したのは、クリエイティブ・ライティングのための作文ストラテジーのフォーマットDilts & Grinder, 1982)が最初でした。
「私たち」は、執筆中のアイディアを刺激するためのプロンプトを生成するためのナレーション視点の4番目にあたるものであり、「私」、「あなた」、「彼女/彼」や「彼ら」に次ぐものでした。
知覚位置の概念とともに、空間的ソーティングやサイコジオグラフィー(物理的な位置が与える心理的効果)の概念(Dilts, 1987, 1990)がNLPに出現してから、
知覚位置、ラポール、および「私たち」の体験に新たな展開がもたらされました。
他者とコミュニケーションを取っている時に自分のサイコジオグラフィーを変えることで、相手との関係性の捉え方が劇的に変化することが、容易にデモンストレーションできるようになりました。
例えば、相手と面と向かって立ったり座ったりしている時は、「私」と「あなた」に強く注意が向く傾向があります。
肩を並べるように横に並んで立つと、「私たち」という枠組みの中で、パートナーとして活動している体験が促進されます。

メタミラープロセス、および、リーダーシップのためのメタマップ・プロセスでは、他者と同調している体験を作り出し、パートナーという認識を共有し、
「私たち」という単位での活動を可能にするサイコジオグラフィーの概念を活用することが、重要な手順の1つとなっています。
ロジカルレベル共同アラインメントのプロセス(Dilts, 1992)は、体験の複数レベルにおける共通点を見出すことで、グループのメンバー間に「私たち」の感覚を生み出すために考案されました。
このプロセスでは、信念、価値観、アイデンティティの感覚、スピリチュアルな知覚
(定義:個としての自分を超え、家族、コミュニティ、グローバルなシステムにまで及ぶ、より大きなシステムの一部であるという体験、
自分という存在からイメージするもの、自分の価値観、信念、思考、行動、感覚を超えた何か、
すなわち、自分が属する大きなシステムには、他の誰が、他の何が含まれているのかという感覚)
におけるオーバーラップ(部分的な一致)に重点を置きます。
ツールズ・オブ・ザ・スピリット・プログラム(1992年に初開催)のために、ディルツとマクドナルドによって開発されたスピリチュアル・ヒーリング・プロセスでは、
第4ポジションへの追加要素としてスピリチュアル・ホールネスのステートが取り入れられました。
このスピリチュアル・ホールネスは、「自分を超えたより大きな何かの一部であるという感覚」と定義されました(Dilts & McDonald, 1997)。
そして、第1、第2、第3ポジションの精神的な拡張を生み出すために第4ポジションが用いられました。
第4ポジションで受けた影響を第1ポジションに持ち帰ると、他者もまた自分の延長なのだという感覚が生まれます。
第2ポジションに持ち込むと、相手との一体感が生まれます。
第4ポジションを第3ポジションとつなげることで、第1と第2ポジションの間で起こっている相互作用は、より広大なシステムの一部でしかないという意識が生まれます。
第4ポジションの「私たち」の感覚は、ソマティック・シンタックス(Dilts and DeLozier, 1993, 1996)の発展により、さらに強化されていきました。
一連のワークショップとして開催されたLove in the Face of Violence(暴力に向き合う愛)(共同講師:ロバート・ディルツ)プログラムを通じて
NLPに導入された、スティーブン・ギリガンの相関的フィールドの概念は、「私たち」の体験にさらなる強調を加えました。
これら以外にもNLP 第4ポジションの概念の捉え方として、
「すべてのポジションを包含し、それらの背後にある意識を目撃する」ことと結びつけた ピーター・ライカザ とジャン・アルデュイ (1994)、
そして、知覚位置を異なる意識レベルと紐付けたロバート・マクドナルド (1998) は、
第4ポジションは実際には1つのポジション(位置や視点)などではなく、他のポジション間における相互作用の創発的結果であると主張しています。
もちろん、NLPの観点から見て重要なのは、第4ポジションや「私たち」のポジションの単なる定義や説明ではなく(マップは領土ではないので)、
他者にも私たちが言及している体験を実感してもらえるように導くことができるプロセスなのです。
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NLPトレーナー ロバート・ディルツ(Robert Dilts)プロフィール
著者より許可をいただき掲載しています。
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