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実践心理学であり、脳の取扱説明書と呼ばれる
NLP(神経言語プログラミング)の
サブモダリティを学ぶことによって、

あなたの苦手意識やネガティブな感情、
またあなたの可能性を制限する
思い込みを変化させることができます。

この記事では、
NLPのサブモダリティとは何か、
その概念の理解とともに

構成要素であるサブモダリティの
各項目をご紹介しています。

また、どのように私たちの
仕事や人生に応用できるのか、
その影響力や重要性について説明し、
基本的な活用例をご紹介しています。

サブモダリティとは何か。

まずはその基となる五感を意味する
【VAKモデル】から理解を深めていただきます。

(注)【心理学NLPとは】

NLPとは、Neuro Linguistic Programming(神経言語プログラミング)の略で、1970年代のアメリカで生まれた心理学です。当初、3人の天才的セラピスト(催眠療法のミルトン・エリクソン、ゲシュタルト療法のフリッツ・パールズ、家族療法のバージニア・サティア)の治療法を徹底的に研究することで生まれました。

さらに脳科学なども取り入れ、卓越したセラピーのスキルとして体系化されたNLPは、当時ベトナム戦争帰還兵のトラウマ治療において、非常に高い成果を出しました。その効果から別名「脳の取扱説明書」とも言われています。

そして現在では、セラピーだけでなく、トップアスリートや政治家、ビジネスマン、会社員などにも広く学ばれ、効果の高い、「目標達成、問題解決、コミュニケーションのツール」として活用されるようになっています。

著者:足達 大和
全米NLP協会公認・NLPマスタートレーナー

「NLP-JAPAN ラーニング・センター」の専属トレーナー。5,600回以上という圧倒的な回数の研修実績を持つ。

NLP-JAPANラーニング・センターとは、日本最大手の「NLP総合スクール」で、NLP業界の世界5大組織と連携。日本で唯一、NLPの基礎から大学院レベルまでの学びを提供している日本最高峰のNLPトレーニング機関。

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1.サブモダリティとは何か

サブモダリティとは、五感の構成要素のことです。

五感とは「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」のことで、NLPでは以下のように3つに分けています。

Visual:視覚情報
Auditory:聴覚情報
Kinesthetic:身体感覚(触覚、味覚、嗅覚を含む)

その3つの頭文字をとり、五感のことをVAK(ヴイ・エイ・ケイ)と呼んでいます。

私たちが「雨が降ってきた」「電車遅延のアナウンスが流れている」「暖かくなって花が咲いている」といった外的な出来事を認識するときには、五感、つまりVAKで認識します。

これと同様に記憶という内的な情報を処理するときにも、このVAKを使用するとNLPでは考えます。

例えば「楽しかった出来事」を思い出したとき、その楽しさを思い出そうとすると、

頭の中で、なんらかの映像が見えていたり、何かの音や誰かの声が聞こえていたり、あるフィーリングを体のどこかで感じていたりします。

また「辛かった出来事」を思い出そうとすると、そのときの映像や音、また胸のあたりがぎゅっと締めつけられたり、頭が重くなったりする身体感覚が生まれます。

例えば上司に怒られた場合、

このようにVAKの情報で記憶された出来事や人に対して、その人なりの判断や感じ方が生まれます。

判断や感じ方とは、感情はもちろん「好き」や「嫌い」、「得意」や「苦手」、「やりたい」や「やりたくない」、また「できる」や「できない」といった思い込みなどのことです。

このように、記憶をどのように構成しているかを示すVAKをさらに詳細に構成している要素がサブモダリティです。

3章で具体的にお伝えしていますが、視覚でいえば「カラーかモノクロか」「見える場所」といった項目があります。

また聴覚でいえば「聞こえる場所」「音はうるさいか、静かか」「スピードは速いか、遅いか」など。

身体感覚でいえば、「感じる場所」「感じる形」「重いか、軽いか」などがあります。

2.サブモダリティの違いと影響

記事を読みながらだと、なかなかイメージがつかめないと思いますので、視覚情報(Visual)のサブモダリティ(モノクロ、大きさ、見える場所など)をつかって、それを変えると感じ方にどのような違いが生まれるのかを確認してください。

まずは次の写真をご覧になって、印象や感じ方を確認してください。

嬉しそうな笑顔の写真ですね。声としては「やったぁ!」または「Yes!」と聞こえてきそうです。

この写真のサブモダリティの一つであるカラーを「モノクロ」に変えるとこうなります。

比較するとこんな感じです。

比べると感じ方に違いがあることに気づかれるかもしれません。

右のモノクロ写真は、まさに「喜びが色あせる」感じが生まれてきていると思います。

次は「大きさ」を変えていきます。小さくすると、

こんな感じです。比較するとこんな感じになります

どちらが喜びにあふれているかを比べると感じ方に明らかな違いがでていると思います。

多くの方が左側だと思われます。

では、「モノクロ」「大きさ」、そして今回は「位置」も加えて比較するとこうなります。

まったく異なる感じ方が生まれていると思います。

お伝えしたいことは、あなたが過去の記憶を思い出すときに、サブモダリティを変化させて想起させることで、その人や物事に対する印象や感じ方を変えてしまうことができるということです。

例えば苦手な上司と打ち合わせをしなければならないとき、嫌だなぁという気持ちとともに、ある映像がこのように浮かんでいるとします。

この視覚情報をそのままにしておくと、感じ方として「緊張」や「焦り」、また人にとっては「怒り」を感じてしまい、生産性のある打ち合わせができない状態、つまり【気になる】状態になります。

この視覚情報を先ほどのサブモダリティ「モノクロ、大きさ、場所」を変えるとこのようになります。

多くの場合、このような想起の仕方をすると、先ほどよりは気にならなくなります。

第1章でご紹介した図と関連させるとこのようになります。

 

「思い出し方を変える」「想起の仕方を変える」、つまり、サブモダリティを変化させることによって、

苦手意識を克服できたり、「行き詰まっている状態」を「やる気が出る状態」にしたり、「モヤモヤ」「ゴチャゴチャ」した状態を「スッキリ」した状態にすることができます。

これらを活用することによって、以下のような問題解決が可能になります。

  • 苦手な上司とのコミュニケーションがスムーズになる
  • 人前で話すときの、あがり症や緊張しやすいパターンを改善できる
  • 許せなかった人を許すことができ、自分自身を取り戻すことができる
  • ダイエットの大敵になるチョコや炭水化物を食べないようにする
  • 「できない」と思っていた目標を「できる」という確信レベルまで高めることができる
  • 喪失感を自分のリソースに変化することができる
  • 行き詰まってなかなか着手できない仕事や片付けなどにやる気が起こる

これまでは、視覚情報のサブモダリティの一部を使って説明してきましたが、このほかにもサブモダリティの項目はあります。

次の章で、視覚情報、聴覚情報、身体感覚情報の各サブモダリティの項目をお伝えします。

3.サブモダリティの各項目

ここでは、「好き」や「嫌い」、「得意」や「苦手」、「やりたい」や「やりたくない」、また「できる」や「できない」といった

その人の判断や感じ方、つまり反応を決めていく「視覚情報」「聴覚情報」「身体感覚情報」のサブモダリティの各項目をご紹介しています。

3-1.V:視覚情報のサブモダリティ

視覚情報のサブモダリティには、以下の項目があります。

モノクロか、カラーか
明るさ 明るいか、暗いか
距離 近いか、遠いか
位置 上下、左右、どの位置か、どの方向か
ピント 1 合っているか、ぼやけているか
ピント 2 変化するか、安定しているか
枠がついているか、パノラマか
動画・静止画 動画か、静止画か
動画のスピード 速いか、通常か、遅いか
コントラスト 強いか、弱いか
立体・平面 枠はあるか、パノラマか
映像の枚数 何枚か、入れ替わるか
角度 どの角度から見ているか
自分の姿 自分の姿が映像の中にあるか、ないか

以上のようなサブモダリティを調整して、「苦手意識がなくなっている」「嫌悪感がない」「やる気になっている」といった有効な状態をつくっていきます。

3-2.A:聴覚情報のサブモダリティ

聴覚情報のサブモダリティには、以下の項目があります。

聞こえる場所 どこから聞こえるか
聞こえる方向 どの方向から聞こえるか
内・外 内部から聞こえるか、外から聞こえるか
うるさい・静か うるさい音か、静かな音か
スピード 速いか、遅いか
ピッチ 高いか、低いか
音色 どんな音色か
音質 どんな音質か
途切れる 音が途切れるか、滑らかか
リズム どんなリズムか
長さ 長いか、短いか
独特な音 特徴的な音があるか

音情報を小さくする、といった調整で「苦手意識がなくなっている」「嫌悪感がない」という状態をつくっていきます。

逆に大きくする、といった調整で「やる気になっている」といった有効な状態をつくっていきます。

3-3.K:身体感覚情報のサブモダリティ

身体感覚情報のサブモダリティには、以下の項目があります。

感じる場所 どこでそれを感じているか
大きさ どれぐらいの大きさか
どんな形をしているか
強さ 強度はどれくらいか
一定している 一定しているか、どうか
動き 動きがあるか、どんな動きをしているか
圧力 どれぐらいの圧力があるか
温度 どれぐらい温かいか
重さ 重たさはどうか
バイブレーション 揺れているか、どうか

これらのサブモダリティを調整して、「苦手意識がなくなっている」「嫌悪感がない」「やる気になっている」といった有効な状態をつくっていきます。

4.サブモダリティの調整のヒント

視覚、聴覚、身体感覚のサブモダリティ項目を調整することによって、嫌な感情や滞っている状態を望ましい状態に変化させることができます。

ここではその調整のヒントをご紹介します。

【視覚情報】

視覚情報は、パソコン画面が明るすぎると目が疲れてしまうので、色合いやコントラスト、明るさなどを調整して適切にしていくようなイメージです。

写真のアプリで画像を修正するようなイメージで調整をしてみたり、2章でご紹介したように大きさや場所などを変えていくことも効果的です。

一般的には「場所」「大きさ」「自分の姿」の変化が、大きく影響する傾向にあります。(人の脳の処理の仕方によって異なります)

【聴覚情報】

聴覚情報は、音楽の世界で使用するミキサーのようにつまみで高音や低音などを調整し、ちょうどいい、欲しい音に調整するようなものです。

聞こえてくる音や誰かの声をミッキーマウスの声にして聞いてみるとか、頭の奥で聞こえているのであれば、左足の小指の爪先から聞いてみると感じ方が変わるのがわかります。実際にやってみてください。

【身体感覚情報】

身体感覚情報では、緊張や不安などは体の部位でいえば、上半身に自分の重心が上がっている場合が多いので、その重心を丹田(オヘソの下)に持っていくことで、落ち着きを取り戻すことができたりします。

またそのフィーリングを感じている部分の形を、例えば「☆」の形から「○」にしてみたり、自分の体の外に出してみることも効果的です。

子どものときに親からやってもらったことの一つに「イタイの、イタイの、飛んでいけぇ!」というものがありますが、このことはNLPで言えば、身体感覚のサブモダリティを変化させていることになります。

このように視覚、聴覚、身体感覚のサブモダリティを複合的に調整しながら、その人にとって適切な状態にしていくことが可能です。

ここからが重要なポイントです。

感情や印象、また思い込みには、必ずVAKが存在し、サブモダリティが存在しています。

嫌なことを思い出すとき、そこには視覚、聴覚、身体感覚の情報があります。

また、いい体験のことを思い出すとき、そこにも視覚、聴覚、身体感覚の情報があります。

同様に「あれは得意だ!」と得意なことを考えるときに、そこには視覚、聴覚、身体感覚の情報がありますし、「あれは苦手だなぁ・・・」と苦手なことを考えるときには、そこに視覚、聴覚、身体感覚の情報があります。

繰り返しになりますが、サブモダリティとは、そのVAKの情報を【どのように】見ているのか、【どのように】聞いているのか、そして【どのように】感じているのかを構成する詳細な要素のことです。

今回の記事は、サブモダリティそのものについての内容ですが、これらを活用することで、仕事や人生で多くの人たちの問題解決を可能にしてきました。

以下はサブモダリティを土台として、応用されたNLPのスキルを参考までにご紹介しておきます。

  • 感情や気分を軽減・解消させる【サブモダリティチェンジ】
  • 嫌な状態を望ましい状態に変える【マッピングアクロス】
  • 感情や行動変容を瞬時に変える【スイッシュパターン】
  • 思い込みを書き換える【ビリーフチェンジ】
  • 活動の根源となる価値観を変化させる【バリューチェンジ】
  • 怒りを手放し、健全で建設的な自分を取り戻す【フォーギブネスパターン】
  • 喪失感をリソースに変容させる【グリーフワーク】
  • 感情や思い込みだけでなく、痛感の症状も解消する【ダイナミック・スピン・リリース】

参考文献

NLP体験講座はこちら

5.まとめ   

サブモダリティは、私たちの五感の構成要素です。

NLPでは、視覚情報、聴覚情報、身体感覚情報の3つにわけられ、「苦手」や「得意」、「好き」や「嫌い」といったあなたの判断や感じ方に影響を与えています。

どのようにそのことを思い出しているか、簡単に表現すると、その想起の仕方を変えれば、感情や思い込みをコントロールすることができます。

視覚、聴覚、身体感覚のサブモダリティを特定しながら、写真のアプリで加工や編集をするように、またミキサーで音を調整してちょうどいい音にしていくのと同じように、編集や調整をしていくことができます。

ビジネスだけでなく、心理療法としても活用されるNLPが、「短期療法のスキル」として広がっていったきっかけとなったのが、このサブモダリティの発見と活用と言われています。