『無意識の行動』とは、
私達が意識することなく取っている
自覚のない行動のことです。
人の行動は9割以上が無意識で
おこなわれているといわれており、
実は無意識の行動は
あなたの人生に対して
大きな影響を及ぼしているのです。
そしてそんな『無意識の行動』は
ポジティブな結果・ネガティブな結果
どちらも引き起こしています。
活用の仕方次第で、
あなたの行動・結果・人間関係等、
人生のあらゆる事柄を
理想に変えていく無意識。
逆にこの記事でお伝えする
脳と心の仕組みを理解していないと
あなたの人生は無意識に振り回された
人生になってしまうかもしれません。
それだけ重要な『無意識の行動』を
味方にしていく秘訣を
心理学をベースにご紹介していきます。
1.人の行動は【9割の無意識】に支配されている
私たちの行動の9割が、意識的ではなく、無意識によって決められているとしたらいかがでしょうか。
無意識の存在を確立したフロイトは、氷山の図を用いて「無意識と意識の関係」を表しましたが、
意識が占める割合はわずか1~3%、一方で無意識が占める割合は97%〜99%とも言われています。
つまり、自分の中に100人の自分がいたとして、自分で意識して動かせるのはたった1〜3人。
残りの97~99人は「意識的に動かせない」といっても過言ではありません。
つまりこう言えます。
無意識をフルに使いこなせたとしたら…
あなたのパフォーマンスは33〜99倍になる。
無意識をうまく使いこなすためにはファーストステップとして、無意識の行動に大きな影響を与えている、
- 脳の仕組み
- 心の仕組み
についての理解を深めることが重要です。
脳の仕組みについては2-1、2-2で、心の仕組みについては2-3で具体的に説明していきますので、興味ある方はどうぞご覧ください。
フロイトが確立した、無意識に関しては以下の記事で詳しく解説しています。
↓
フロイトが確立した「無意識」とは?3つの領域のについて解説
2.無意識を使いこなすための前提
2-1.前提①:脳は必要な情報を取り入れるようにできている
人の行動がほぼ無意識で行われるのは、脳の情報処理のメカニズムが原因の一つだと言われております。
人の脳は人体の中でも特に効率的に動く臓器です。
シンプルに言うと、脳は、ものすごく省エネが好きなのです。
なぜなら、脳は膨大な情報を受け取り、それを瞬時に処理するために莫大なカロリーを消費しているからです。
成人の脳の重量 | 全身の2% |
---|---|
消費エネルギー | 全身の20〜25% |
また、脳は五感を通して、1秒間に1,100万ビット(ビット=情報量の単位)の情報を得ていると言われており、これはつまり、文庫本およそ5冊分の情報量です。
そのため脳は省エネをするために、すべての情報を処理するのではなく、必要な情報を残して、それ以外は手放しているのです。
そんな必要な情報を残す機能を「フィルター」と言い、脳はこのフィルターによって毎秒受け取る1,100万ビットの情報を、毎秒126ビットまで小さくします。
このフィルターがあるからこそ、脳はパンクすることなく機能することができるのです。
このように脳は知覚する全ての情報を処理するのではなく、必要な情報を選択して取り入れているのです。
2-2.前提②:過去の経験から行動をパターン化していく
脳は五感から得た情報を基に学習をしていき、行動をパターン化させていきます。
これは膨大な情報を受け取る脳が、次回以降は、最小限の労力で対処するために行われます。
この機能を、習慣化(パターン化)といいます。
例えば、日本人にとってなじみ深い漢字も、パターン化によって私たちは認識しています。
漢数字の「一」、これだけであれば「いち」と読みます。
しかし、「一つ」となれば「いちつ」ではなく「ひとつ」と、反射的に読まれる方が多いですよね。
これは過去に「一つ」と書いて「ひとつ」と読むことを経験しているから反射的に正しく読めるというわけです。
まさに、脳が過去の経験から学習し、パターンを構築して、無意識の行動としてアウトプットをしているのです。
つまり、無意識の行動は脳の学習によってプログラミングされた行動と言えます。
しかし、この様なプログラミングは瞬時に情報を処理できる良い面がある一方で、選択肢を狭めてしまうという悪い面もあります。
先ほどの漢字の例であれば、
「いち」または「ひとつ」以外の読み方はないのだと固定観念を作ってしまい、学習してプログラミングされた行動(漢字の読み方)以外の選択肢を考えなくなっていきます。
このようにパターン化された行動以外の新しい行動が取りづらくなってしまうのです。
しかし、脳が効率的に働くためには、この無意識の行動に落とし込む「習慣化」は、必要不可欠な要素です。
それでは、意図的に「良い行動」をプログラミングしていくためには、どのようにしていけばよいのでしょうか。
ちょっとした脳の使い方をすることで、よい習慣化を作っていくことが出来ます。
ここについては、3-2「習慣化」でご紹介していきます。
2-3.前提③:どんな行為にも肯定的な意図がある
あなたもこのような経験をしたことはないでしょうか。
- 英語学習を始めようと決意したものの、三日坊主で終わってしまった。
- 仕事で同じミスばかり繰り返してしまう。
- プレゼンの前に、緊張で手が震えてくる。
- 夜寝る前に、ついスマホを触ってしまう。
この他にも、無意識に行ってしまっている行動があるかと思います。
実はこのような無意識の行動は、心の仕組みである「肯定的意図」を満たすために、存在していると言われております。
「肯定的意図」とは、すべての行動は、何かしらポジティブな目的を満たすために行われている、という考え方です。
つまり、意識的には「変えたい」「辞めたい」と思っている、あなたが望んでいない無意識の行動も、
「それをすることによって得られているプラスな一面」があるため、行ってしまうのです。
先程の例を用いて具体的にお伝えします。
具体例① :英語学習を始めようと決意したものの、三日坊主で終わってしまった。
↓
肯定的意図:すでにキャパオーバーの自分を休ませたいから終わらせる。
具体例② :仕事で同じミスばかり繰り返してしまう。
↓
肯定的意図:実は、ミスをした後、誰かが気にかけてくれることに安心感を得ている。
具体例③ :プレゼンの前に、緊張で手が震えてくる。
↓
肯定的意図:失敗の口実、プレゼンへの恐怖心を紛らわせようとしている。
具体例④ :夜寝る前に、ついスマホを触ってしまう。
↓
肯定的意図:疲れた心身をリラックスさせようとしている。
無意識の行動は、気づかないうちに肯定的意図を満たしているからこそ、どれだけ意識で変えようと努力してもなかなか変えることができないのです。
実は、多くの人が、このことに気づいていません。
反対に、肯定的意図を満たす別の行動に変えることができれば、自分が望んでいない無意識の行動も変えていけるのです。
その方法については、3-3でお伝えします。
3.無意識の行動を活用する鍵とは
ここでは、2章でお伝えした、
- 脳の仕組み
- 心の仕組み
を用いて無意識の行動を効果的に活用していく方法をご紹介します。
3-1.『RAS』を用いて効果的にフィルター機能を利用する
2-1で、脳は膨大な情報の中からフィルターを用いて必要な情報を残しているとお伝えしました。
このフィルターを効果的に使っていく方法が、
「RAS(Reticular Activating System:脳幹網様体賦活系)」を用いることです。
RASには「興味や関心がある情報を集めていく」役割があると言われています。
別の言い方をすると、RASには興味や関心ごと等、意識を向けたことに関係する情報をフィルタリングして取り込みやすくする機能があるということです。
例えば、車好きの人と、カフェ好きの人が街を歩いていたとします。
車好きの人は、町中で走っている車の情報に目が行きます。
一方で、カフェ好きの人は、どんな車が走っているのかには気づかず、周辺のカフェやレストランに目が行くようになります。
みなさんも人と一緒に歩いていて、同じものを見ても、感じ方や受け取る情報が違う経験をしたことはありませんか。
このように、自分の興味や関心があることの情報を現実の中から集めてくれるのが、RASという機能です。
しかし、これは興味・関心といったポジティブな内容だけを集めるわけではありません。
「避けたいこと」や「嫌なこと」も関心ごとに当てはまります。
そのためRASはネガティブも引き寄せてしまうのです。
例えば、仕事でうまく行かず、「自分はどうして仕事が出来ないのだろう」と思っているとします。
そう思っていると、RASは無意識に他者の優れた点と自分を比較したり、失敗や不幸に関する情報を選別し取り込んでいき、
「自分は仕事がうまくいかない」ことの証拠探しをしてしまうのです。
このように、RASは、ネガティブな情報も集めてきてしまいます。
みなさんは、ネガティブな情報を引き寄せていきたいですか?
もし、プラスな物事を引き寄せるのもマイナスな物事を引き寄せるのも、無意識にRASが働いてしまうのであれば、出来る限りプラスな物事を引き寄せたくありませんか。
3-1-1.脳の機能『RAS』を有効に使っていくためには
- ゴールやアウトカムを具体的に明確に設定をする
- 理想や目標等、ポジティブなことに興味・関心を持っておく
ことが重要です。
なぜなら明確なゴールや、アウトカム等のポジティブなことに「興味」や「関心」を向けることで、
自分の理想を叶えていくために必要な情報を『RAS』が選別して受け取ってくれるためです。
このように、明確なゴール設定を持ち、RASをポジティブな情報を多く受け取るように促していくことで、無意識の行動にポジティブな影響を与えることが出来ます。
そのためのオススメな方法として、
- 目標を紙に書く
- 常に目標を目に見えるようにする
これらを実践してみてください。
習慣的に、自分に刷り込ませていくことで、いつの間にか考えることなく、RASを働かせて常に理想の状態を生きていくことが出来るようになるのです。
3-2.効果的によい習慣化を手に入れる
脳は「習慣化」を行っていると2章でお伝えしました。
ですが、「習慣化」と聞いて、苦手なイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
いざ「やろう!」と決意しても、なかなか習慣化されるまで、やり続けることが出来ない。
これは意志力の問題ではなく、人間には身体の状態を一定に保つ様にコントロールするホメオスタシス(生体恒常性)という機能が備わっているからなのです。
わかりやすくお伝えすると、「いつもどおり」を維持しようとする「ホメオスタシス」という機能があるために、なかなか習慣が定着していかないのです。
それでは、どうしたら習慣化されるまでやり続けることが出来るのでしょうか。
習慣化に必要なことは、「一定期間の繰り返し」です。
新しい行動が習慣化されるまでにかかる時間は、一般的に18日〜254日と言われております。
また行動心理学ではマクスウェル・マルツの著書「サイコ・サイバネティクス」の21日間の法則も有名です。
期間は個人差があるためバラけておりますが、いずれにしても同じことの繰り返しが、習慣化していくためには必要です。
3-2-1.習慣化させる第一歩
継続のためにオススメなことは、「いつもどおり」を維持しようとする、ホメオスタシスを機能させないことです。
そのために、
- 絶対に出来る小さな行動から始めること
- 継続することを目標にすること
が重要になってきます。
いきなり高い目標設定から行おうとすると、「いつもどおり」を維持しようとする「ホメオスタシス」によって、継続することを遠ざけていってしまいます。
そのため、「いつもどおり」の行動の範囲内で出来ることから継続してみてください。
もしかしたら変えたいと思っていても、なかなか変えられない習慣もあるかもしれません。
このようなマイナスな習慣を変えて、理想の習慣を手にするための方法を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
↓
マイナスの習慣を変える6つの方法
3-3.肯定的意図を用いて望まない無意識の行動を手放していく
2-3でもお伝えしましたが、無意識に望ましくない行動をしてしまう一つの原因は、その行動をすることで、得られるものがあるからです。
まずは、望まない無意識の行動を手放すために、肯定的な意図を探っていきましょう。
3-3-1.肯定的意図を探る方法
無意識の行動の裏には、何か別に「満たしたいもの」があるのかもしれません。
その時に、今自分は何を求めているのかを発見していくこの方法をご活用ください。
<肯定的意図を探る方法>
- 改善したい無意識な行動を特定する。
- ポジティブな目的を特定する質問をして、直感的に答える。
- 「②」を何度も繰り返して、肯定的意図を発見していく。
*シンプルにあなたが変えたいと思う行動を特定します。
例)人の悪口を言う、タバコを吸う、夜ふかしをする、爪を噛む
[質問1]
「その行動をとると、あなたは何が得られますか?」
[質問2]
「その目的は何ですか?」
「これを得ることによって、さらに何が得られますか?」
「それはあなたに何をしてくれますか?またはどんな気持ちにさせてくれますか?」
例えば、「ダイエットをしたいのに、どうしてもお菓子を食べてしまう」場合があるとします。
当てはめてみると、下記のような流れになります。
お菓子を食べることで得られることは何か?
⇒お腹が満たされる感覚
お腹が満たされる感覚を得られることによって、さらに何が得られるのか?
⇒充実感
充実感を得ることの目的は何か?
⇒安心感
安心感を得ることによって、さらに何が得られますか?
⇒喜び
このように、問いかけを続けて、ネガティブな行動に秘めた、肯定的意図を見つけていきます。
この例であれば、ダイエット中にお菓子を食べてしまう無意識の行動によって、充実感や喜びといった肯定的意図を満たしています。
この方法をする注意点としては、頭を使わずに直感的に質問に答える必要があります。
なぜなら、これは意識で考えたことを知りたいのではなく、無意識が求めていることを知りたいからです。
この肯定的意図を探る方法を用いて、「意識」と「無意識」の認識を一致させていくことが、無意識の行動を活用していく上で大切です。
意識してもなかなかうまくいかない時は、行動の目的を掘り下げ、肯定的意図を理解することで、原因が分かり、対処していくことが出来るようになります。
3-3-2.『肯定的意図』を用いて望まない行動を別のよい行動に変える
望まない無意識の行動の原因(肯定的意図)を見つけることが出来たら、別の行動で目的を満たしていけるように考えましょう。
例えば、早起きをしたいと思ったならば、「夜ふかし」を手放す必要があります。
また、仕事をする時間がもっとほしいのであれば、「スピード感がない仕事の進め方」を手放す必要があります。
また、ダイエットをしたいのであれば、「食べすぎてしまう」を手放す必要があります。
このように、3-2でお伝えした、新たな習慣を加えていくだけではなく、望まない無意識の行動を別の行動に置き換えていくことも無意識を活用することに役立ちます。
<望まない無意識の行動が満たしている肯定的意図を別の行動に置き換えていく>
「望まない行動にが満たす肯定的意図を、別の簡単でプラスな行動で置き換えるとすれば、どんな方法がありますか?」
例:ダイエット中の間食を通して、「喜び」という肯定的意図を満たしている。
⇒肯定的意図の「喜び」が感じられる別のプラスな行動に置き換えていく。
例えば、お風呂に入る。読書をする。瞑想をする。etc.
肯定的意図を通して、無意識に繋がり良い習慣を手にする方法をお伝えしました。
望ましくない行動を変えるのではなく、そこから得ているメリットを別の行動で満たしていく手法です。
人が行う行動には全て意味があります。
そしてその意味は、無意識が教えてくれます。
無意識と繋がり、よりよい行動を手に入れるこの方法をぜひ試してみてください。
ここまで読んでいただき、無意識に関して詳しく知りたい、無意識を活用して、自分のパフォーマンスをさらに高めていきたいとお考えの方は、こちらもあわせてご覧ください。
↓
無意識とは?無意識に秘められた偉大な力と活用法3選
また、無意識と同時に、潜在意識といった言葉を耳にすることが多いかもしれません。
無意識と潜在意識のそれぞれの意味や活用方法については、以下の記事でご紹介していますので、さらに知識を深めていきたい方はぜひご一読ください。
↓
無意識と潜在意識の違いとは?無意識を味方にする方法4選
4.最後に
今回は無意識の行動についてご紹介しました。
人の行動は、9割以上が無意識によって行われています。
無意識の行動を変えていくことが出来れば、きっと想像もしていなかったことを経験することが出来るはずです。
このメディアサイトを運営しているNLP-JAPANラーニング・センターでは、実践心理学NLPを学ぶことができるスクールも運営しています。
実践心理学NLPにはこの記事でご紹介をした以外にも、多くの『無意識を活用していく方法』が存在します。
自分の無意識を最大限使っていくことの第一歩になるかもしれません。
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